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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

「後生です、ま、待って下さい! ……」

「なに?」

弥惣兵衛は意外なというふうに、

「支度をする間か」

「いえ……ここしばらくの間……幾日かたてば、きっと、奉行所へ私から名乗って出ます」

「だまれ、法は峻厳、枉ぐべからざるもの、さような自由は相成らん。縛につかぬとあらば、押しくるんで召し捕る分じゃ」

「ああ! わたしは、もう心から生れ代ったお綱だと思っていたが……」

「御法のさばきをうけぬうちは、汝の罪は滅していない、どこまでも兇状が追って廻るのじゃ」

「でも今は、たとえ何とおっしゃっても、また、この上罪が重なろうとも、お縄をうける訳にはゆきません」

「ぜひがない!」

弥惣兵衛は身を退いて、

「それ、召し捕ってしまえ」

「お願いです! ……」新藤五の刀を構えながら、お綱は、神に祈るように、

「お見のがし下さいまし、お慈悲! お願いでございます」

「手抗いするかッ」

「どうしても、あることの終りを見届けないうちには――」

叫ぶのも終らぬまに、捕手は前後から打ってかかった。絶体絶命、縄をうけるか切りぬけるか、このふたつよりない切迫。

お綱は突然ひとりを切った。わッと捕手の退くところを、お千絵の手をつかんで必死に駆けだした。