Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
と弦之丞は、お千絵の顔をジッと見て、
「ゆく末、むつまじく暮らしてくれ」
と力をこめて、ふたりにいった。
「えっ……?」
お千絵は耳を疑った。
姉妹? 誰と?
今、弦之丞はそういったのではないか。と泣きはれた目をみはったが、思い当たったものか、サッと顔の色をさめさせて、その眸を、お綱のほうへ向けかえたのであった。常木鴻山も、今はつつんでいた仔細を話して、お千絵に義理の姉をひきあわせる時機であろうと考えて、唇をうごかしかけたが、
「いいえ! いいえ!」
と、その間もないような早口で、お綱はすべてをさえぎって、名乗ることも避けて言った。
「弦之丞様、もうなんにも申しますまい。江戸へ帰ってくれともお頼みいたしません。ですけれど、たとえ旅から旅でお暮らしなさるにしても、お千絵様の身だけは永く見てあげて下さいね……ご、後生でございます。お綱があなたに最後のお願いは、たった、それひとつでございます。それさえかなえて下されば、わ、わたしは、自分があなたと暮らす身になったのと同じように、うれしいと思います! ……本望です! ……江戸の女の負け惜しみではございませぬ、心の底から、蔭にいても、おふたりのお幸せを祈っています」