Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
「けれど、一人じゃないのだろう?」
「え……何が」
「法月弦之丞様と一緒に歩いているような口ぶりだったじゃないか。――おばさん、私も今では弦之丞様の素姓や、お前のご亭主の万吉さんが、何をもくろんでいるのかぐらいは、うすうす知っているのだから、その法月さんの居所を、私だけに、そっと教えておくれでないか――ね、後生だから」
弦之丞の居所を教えてくれという、そのお米の様子が、いつになく真剣なのに、お吉はひそかに妙に思って、
「さあ、それは私にも……」
と、口を濁すと、たたみかけて、
「知っているのだろう、え、お吉」
お米の眼が粘りこく追求してくる。
「存じませぬ。――なんでお嬢さんにまで、そんなことを隠しだてするものですか」
「だって、さっき、家探しをして行った侍たちが、万吉も弦之丞も、たしかに、この大阪へ来ているはずだといったじゃないか」
「それはそう申しましたが、自分の亭主の居所さえ知らない私が」
「いいえ、そんなことはあるものじゃない。この大阪へ帰ったなら、たとえ人目を忍んでも一度はこの家へ来たに違いがない……。いいよ、お前は私までを、阿波の廻し者だと、疑っているのだから」