Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme
有村殿にも、その辺のお心配りを第一に願いたい」
「それは、ご安堵下さいまし、先頃から、天堂一角の知らせに応じて、それぞれ船関、山関の手配りなども一段ときびしく固めさせてあります」
「しかし、昨年大阪表で取り逃がした、法月弦之丞という江戸方の者、容易ならぬ決心をもって、この阿波へ入り込もうとしているというが」
「何をしているのか天堂一角、刺客となってかれをつけて行きながら、いまだに刺止めることができぬらしい。――それをみても、弦之丞と申すやつは、一癖あると見えまする」
かつて、安治川の下屋敷で、月山流の薙刀をつけ、したたかに弦之丞のために投げつけられたことは、今も三位卿の記憶に残っている筈だが、それはいわない。
そこへ、侍臣のものが、重喜の意向を伺いにきた。
「森啓之助様が、つるぎ山から帰られて、何か、御拝顔を得たいと申されておりますが」――と。
「う、今頃うせたか」
すぐに、こう応じたのは、重喜でなく、有村の苦笑だった。
「まいろう」
と阿波守はやぐらを降りて、徳島城の西曲輪へ向った。
ひとりで、そこの風に吹かれていてもしかたがないので、三位卿も重喜の腰について行った。