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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

ている。

「もとより、こういう無理なお願いをする上は、私たちが、秘密な大望をもつ者ということは、もうお察しでございましょう」

お綱は、相手の遅疑する色を見ながら、迫るように、お久良の決意をうながしていった。

「けれど、四国屋様」

つとめて、自分の言葉を、平静に装いながら――

「決して、後に、そちら様のご迷惑になるようなことは致しませぬ。よしや、禁制破りが露われて、領主の蜂須賀家から、お店へ科がかかりましょうとも、その時こそは、幕府の御威光をかざしても、きっとお救いする道が……」

パチンという鍔の音に、お綱は、口を辷りかけた言葉を切って、堤の上の弦之丞と眼の光をからませた。

「あの……お綱さん」

お久良は、何か思い切った様子で、やっと顔を上げながら、

「なにしろ、ここでは、深いお話も伺えませぬ。それに、船の荷都合ものびておりますから、それまでの間に、いちど、私どもの寮へおいで下さいませ。その時には、何かとゆるゆる御相談もいたしましょうから」

巧みに、逃げ口上をいって、はずすのではないかと、弦之丞の懸念も、お綱の眼も、そういう相手の顔色を、天眼鏡の向うに置くように見つめたが、お久良の素振には、少しもやましいものがなかった。