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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 261.216 Zeichen · 521 Bildschirme

Aozora Bunko

やすらかに眠るその人の寝顔が怨めしげにみつめられて、明日の朝、瞼の腫れの恥かしいこともあろう。

その心持を、万吉はよく知っていた。

だが、万吉にも、弦之丞へそれと口を切ることができないので、ただ、お綱の心根を、蔭で、不愍と思いやっているばかり……。

「そりゃ、お千絵様と、誓ったこともあるだろうが、あのお方は、癒るかどうか分らない程な、気狂いという病気になっているのだから……」と、こう、自分で理由をつけて、どうかして、お綱にこの恋を遂げさせてやりたい――とそのたびごとに考えている。

「――決して、それが不倫な恋とはなりゃしまい。お千絵様とお綱さんとは、義理の姉妹には違いないが、妹のほうが乱心になって、弦之丞様との恋が失せてゆくものとすれば、お綱さんがそれに代ったって、ちっとも、悪い話じゃねえ。むしろ、まことにけっこうなことだろうと思うんだが、なにしろ、法月様ときた日にゃ、そこになると、まったく融通が利かねえからなあ」

いつも、この二の足で、弦之丞の顔をみると、彼もお綱も、そんなことは、おくびにも出せないのである。

そこで、万吉。

今夜は、お綱に粋を利かせた意味と、実は、自分も、久しく会わない女房のお吉に、ちょっと優しい言葉でもかけてやろうか、という気持から、舟を上がって行ったものだ。