Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
「相模入道を食い殺せ!」
「ソレ宮方を噛み仆せ!」
二頭の猛犬は猛烈と吼えた。
「ウオ――ッ」
「ウオ――ッ」
「ワ、ワ、ワ、ワ――ッ!」
闘犬の稽古をしているのであった。
(これはいったい何んということだ! 妖怪屋敷だ! 化物部屋だ!)
小次郎は茫然と佇んで、四辺の光景を悪夢かのように眺めた。
桂子も浮藻も彼を置き去って、奥の部屋の方へ行ったことにさえ、彼は全く気づかなかった。
と、一人の二十八、九の男が、気安そうに彼の側へやって来たが、
「新米殿、ひと稽古たのむ」
こう云うとドンと衝突った。
その男が肩で小次郎の胸を、正面からドンと突いたのであった。
「あッ、乱暴な何をする!」
少し怒って小次郎は怒鳴った。
「稽古じゃ、アッハッハッ、怒ってはいけない」
「稽古? 稽古とは? 何んの稽古?」
「何か紛失物ありませぬかな?」
「紛失物? 何をつまらない」
そう云ったものの不安になって、小次郎は懐中を探ってみた。
小金を入れた小袋が、懐中からいつか失われていた。
「ない! 金が! 金を入れた袋が!」
「すなわちこれでござろうがな」
その男は小次郎の鼻の先で、皮の小袋を振ってみせた。