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Japanische Klassiker mit Furigana

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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして京の地へ帰って来たのは、数日前のことであった。

実家へ帰ろうとはしなかった。

家のことも父のことも、彼女の心にないからであった。

ではどうしてこのようなところへ――比叡山の裏山というようなところへ、彼女はやって来たのであろう?

流浪中に彼女にも仲間が出来た。

その仲間がここへやって来たので、それで彼女も来たまでであった。

ではどうして彼女の仲間は、こんなところへ来たのであろう?

神社仏閣の所在地へは、世の廃人や社会の落伍者が、おのずと集まるからであった。

ことにこの頃の比叡山の裏山には、そういう廃人や落伍者ばかりでなく、盗賊、追い剥ぎ、悪祈祷者、そういう者まで集まっていた。殺生禁断の場所だけに、鳥獣なども無数にいた。それを狩るために猟師などまでが、弓矢をたずさえてはいって来、猪小屋をかけて住んでさえいた。娼婦の群れさえいたほどである。

早瀬は叢の向こう側へ行った。

と、自分の歩いて行く先を、何者か歩いて行く者があって、草を分ける音が幽かに聞こえた。

彼女は思わずゾッとした。

(裏切り者ではあるまいか? ……盲目の殺人狂ではあるまいか?)

彼女は佇んで耳を澄ました。