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Japanische Klassiker mit Furigana

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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme

Aozora Bunko

と呟いて立ち止まった。

陽焼けした顔色はセピアのようであり、頬は落ちくぼんで剃いだようであった。盲目の眼は瞼で蔽われ、黒い隈が暈のように輪どっていた。これが頼春の顔であった。昔の俤などどこにもなかった。

肩は落ち胸はくぼみ、背は曲がり腰はくくれ、全身枝のように痩せていた。昔の俤などどこにもなかった。これが頼春の姿であった。

(今日も人二人殺したっけ)

それを頼春は考え出した。

(一人はどうやら女らしかった)

(女を殺したのは今日がはじめてだ)

彼は持っている竹の杖を、一尺ばかり持ち上げた。

それでグッと突く真似をした。

床にあたって音を立てた。

(柔らかく、ねばっこく、暖たかくさえ、杖の先から腕を通し、全身にまでも感じられたっけ! ……悲鳴! ……そいつさえ男ののと異って、グ――ッと胸へ響いたっけ!)

(女を殺したのははじめてだ!)

何かしら血を湧かせ、何かしら心を踊らせ、何かしらゾクゾクさせるものを、女性殺戮から彼は感じられた。

「悪くなかった」

と呟いた。

流浪の旅へ出て数年になる。

その間彼は一度として、女に接したことはなかった。

それを今日女を殺したことによって、間接ながらも接したのであった。