Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あさひのよろい

あさひの鎧

国枝 史郎

Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme

Aozora Bunko

小次郎に誰か斬られた!

戒壇のこわれる音!

「小次郎様ア――ッ」

「もう大丈夫! ……しっかり縋って! ……もう大丈夫!」

「やらねえ――ッ」

杖!

払った刀光!

荒莚が千切れた!

誰か馳け行く!

「逃げた――ッ」

「追え――ッ」

足音!

足音!

丑の刻の鐘の鳴った時、桂子は写経を引き裂いて捨てた。

「右衛門!」

と桂子は突っ立ち上がり、館の庭にひざまずいて、手をついていた右衛門を睨んだ。

「そちの無謀を止めようと、走って行って時を費やし、血書きの写経のわしの行、三分の一を余したぞ!」

鬼火の姥はこわれた戒壇を、口惜しそうな眼で睨みながら、その横に気抜けして地面へ坐り、バカのようになっている範覚へ云った。

「調伏も祈祷もありゃアしないよ。……もう何もかも目茶苦茶さ」

その時丑の刻の鐘が鳴った。

比叡山延暦寺の大塔の座敷に、お若い一方の貴人がおわした。

丑の刻の鐘の音をお聞きあそばされるや、

「断行!」

と一言仰せられた。

後に大塔宮護良親王――尊雲法親王におわしました。

やがてこの年の九月となり、野山が紅葉で飾られるようになった。

河内国赤坂の地へ、楠木正成が城を築き、宮方ご加担武家討伐の、義兵を挙げたのはこの頃であった。