Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
そうして一人の中年の男が、さも悲しそうに泣き喚きながら、穴の周囲をさまよっていた。
「おやさしかった多門兵衛様には、すでに矢折れ兵糧つき、この城保ちがたしとご覚悟なされ、ご自害あそばされましてござります。首級などあらば葬らうものと、このようにお探しいたしても、かけた火に焼かれてそれさえない。悲しやな、オーオーオー」
寄せ手の勢たちは凱歌をあげた。
「正成腹切って死んだそうな」
「一族郎党みな死んだらしい」
「大塔宮様もご薨去じゃ」
が、背後の山や谷には、五人十人と組をなして、落ちて行く城兵の姿が見られた。
誰一人悲しんでいる者はない。
これも「手」さ、多門兵衛様の「手」さと、かたく信じているからであった。
九人の者が簑笠を着て、熊野街道を通っていた。
そのお一方は大塔宮であらせられ、後の八人は家臣であった。
雨に叩かれ風に吹かれ、関東の兵の襲撃を避け、忍び忍びに落ちられるのであった。
先刻までは正成とも同伴であったが、今は別れて九人ばかりとなり、回天の雄志はお胸にあったが、現実には強いお味方もなく、心細く辿られているのであった。
と、この九人の一行は、その翌日も熊野街道を、うち連れ立って辿っていたが、その姿は武士でも農夫でもなく、兜巾篠懸金剛杖の、田舎山伏となっていた。