Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
「この雪では閉口じゃ」
「村上坊ではなかったかな、吉野山に参詣し、庵室になるべき地形見立てようと、数日来大分意気ごんでいたが」
「行くことは行くが、先達殿が許さぬ。……道の開くまで待つがよいとな」
「その先達殿だが、ご覧なされ、また娘ごにとらえられ、ちとお困りのご様子じゃ」
幾間かへだてた向こうの座敷の、陽あたりのよい縁近くに、若い先達と娘の呉服とが、さも親しそうに話していた。
「まず来年の春までは、雪も氷も解けはしませぬ。そのうち中はあなた様には、この家の捕虜にござります。そうご観念あそばされませ」
そう、呉服は嬉しそうに云った。
雪と氷とが関所となって、この気高い美貌の山伏を、永くこの家にとどめておくことが出来る、このことは、ほんとうにこの処女には、嬉しくてならないことなのであった。
「先を急ぐ旅というではなし、置いてさえくださればいつまでなりと、私はここにおりましょうよ」
若い先達は微笑して云った。
優しい、含みのある、清らかな声は、恋を知り初めた処女の耳へは、楽の音のように響くのであった。
「まあ、置いてさえくださればなど、と……おいでくださいますれば、いつまでなりと……十年であろうと、二十年であろうと。