Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
(可憐とおっしゃった、この呉服を可憐と)
庭の一所に陽溜りがあって、そこだけ雪がとけていて、笹の葉が微風に揺れている。その側の梅の古木の根もとを、みそさざいが一羽行ったり来たりしている。
いつもひとりで寂しそうに、こそこそと忍び歩くこの鳥は、心に充たされない何物かがあって、それを求めて侶と離れて、探し廻っているかのようであった。
呉服のこれまでの心持ちが、そっくりそれに似かよっていた。
心に充たされない何物かがあって、たえずそれを求めていた。
若い先達に逢ってからは、その何物かの何んであるかが、やっと呉服にはわかって来た。
恋だった!
日一日と呉服の心へは、若い先達への愛慕の情が、増し、強まり、※(「火+稻のつくり」、第4水準2-79-88)をあげて来た。
(でも、何んと云い出せよう)
言葉にも行為にも出だすべき術を、まだ彼女は知らなかった。
「先達様」
と、呉服は云った。
「いいえ」
と、すぐに自分で消した。
「可憐と……わたしを……ほんとうに可憐と?」
「…………」
先達は微笑してただ見詰めた。
と、不意に何気なさそうに云った。
「そなたのお父上は竹原入道殿、この地方では有名なお方、お健かでござるかな?」