Japanische Klassiker mit Furigana
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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
Lesen Sie あさひの鎧 (あさひのよろい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.520 Zeichen · 475 Bildschirme
「恐ろしや、それほどまでに……すでに準備が……ではこうしては」
「やらぬ、女郎! 明かす気じゃな! ……もうこうなっては妹とは思わぬ! ……秘密を知られた汝は敵じゃ!」
「どなたか! 出合え……宮様一大事!」
「黙れ!」
「あッ」
首を締めたらしい。
宮家は思わず前へ出られた。
とたんに、
「わッ」
という男の悲鳴が――右源次の悲鳴が一声きこえ、
「宮様! 宮様!」
と叫びながら、槻の木を巡り館の方へ走る、呉服の姿が黒く見えた。
(?)
宮家は凝然と足を止められ、
(呉服が……よもや……右源次を?)
――不安をもって見送られた。
呉服の姿が消えてしまうと、広大の館の庭の中には、一つの人影も見られなかった。
厩舎の方から仕入れ馬でもあろう、板壁を荒々しく蹴る音が聞こえ、槻の木の梢からは巣ごもっている鳥の、やわらかい啼き声が落ちて来た。
(右源次は?)
と御心にかかり、宮家は萩と卯木との叢を、向こうの方へ廻って行かれた。
それは右源次の死骸らしく、地にのびて俯向きに倒れていたが、杖をつき首を垂れ、物思わしそうにしょんぼりと、みすぼらしい姿の盲人が、その横に立っていた。