Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
ここから南へ忠別岳に連なる尨大な尾根が高根ヶ原で、お花畑の連続だが、中でも驚くべきは駒草の大群落だ。うっかり歩くと道でも駒草をふみつける。ある所では見渡す限り駒草ばかりといってもいいくらい、私は思わず同行の北大植物教室の鮫島さんをかえりみて「一目千本」と嘆称をもらしたほどだ。そんな所が数箇所ある。又偃松の異常に旺盛な所で、白骨のような根株はこちらに、梢はとんでもない彼方、といった風で、中には人丈けを没する大株もある。私は冗談にエゾハイマツなどと呼んでみた。従って羆の隠れ家らしく、大きな足跡や累々たる糞塊、好物の千島人参を掘った穴などがいたる所に見られる。そんな所では鮫島君らは歌を唱ったり、サイレンを鳴らしたりして行く。彼は数メートルの近くで羆と出会った経験の持主だが、けっして逃げてはイケないという。逃げれば相手弱しと見て必ず追ってくる。あの図体に似ずすこぶる駿足だから、とても逃げおおせるものでない。ジッと睨みすえるに限る。すると向うで退却する……というのだが、そういってくれればよいが、私にはどうも自信が持てない。むしろ立ちすくんで動けないのがいいかもしれぬ。