Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちょうふじん

お蝶夫人

三浦 環

Lesen Sie お蝶夫人 (おちょうふじん) von 三浦 環 (みうらたまき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.730 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

生れてから一昼夜、泣かなかったのでお父さんもお母さんも、産婆さんも、この赤坊は唖ではないかと心配したそうですが、生れてから二十時間たった翌朝の八時頃、元気な声で、オギャーオギャーと産ぶ声をあげたのでみんな愁眉を開いたそうです。生れた時、唖じゃないかと心配されたのが、欧米プリマドンナ生活二十年という、日本の声楽家で始めての記録を作ったのですから、誠に不思議な因縁だと思います。それはさておき、私の前に男の子が二人生れたそうですが二人とも育たずに死んじまって、両親はがっかりしていたので、今度の赤坊は丈夫に育ちますようにと、そして柴田家の跡取りだからといって、男の子のような「環」という名をつけたのだそうです。

私のお父さんは柴田猛甫といいまして日本最初の公証人でした。遠州朝日奈村の地主で、造り酒屋の長男でしたが、青雲の志を抱いて明治十四年、二十八才の時、私のお母さん登波と一緒に上京し、芝の入舟町に五ツ間ばかりのお家を百円で買って住み、明治大学の前身、明治法律学校で法律を勉強して公証人になったのでした。父は非常に進歩的な考えを持った努力家で、故郷で造り酒屋をやっていた時も、真黒になって働いたそうです。