Japanische Klassiker mit Furigana
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こころ
こころ
Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme
私は再びそこで故郷の匂いを嗅ぎました。その匂いは私に取って依然として懐かしいものでありました。一学年の単調を破る変化としても有難いものに違いなかったのです。
しかしこの自分を育て上げたと同じような匂いの中で、私はまた突然結婚問題を叔父から鼻の先へ突き付けられました。叔父のいう所は、去年の勧誘を再び繰り返したのみです。理由も去年と同じでした。ただこの前勧められた時には、何らの目的物がなかったのに、今度はちゃんと肝心の当人を捕まえていたので、私はなお困らせられたのです。その当人というのは叔父の娘すなわち私の従妹に当る女でした。その女を貰ってくれれば、お互いのために便宜である、父も存生中そんな事を話していた、と叔父がいうのです。私もそうすれば便宜だとは思いました。父が叔父にそういう風な話をしたというのもあり得べき事と考えました。しかしそれは私が叔父にいわれて、始めて気が付いたので、いわれない前から、覚っていた事柄ではないのです。だから私は驚きました。驚いたけれども、叔父の希望に無理のないところも、それがためによく解りました。私は迂闊なのでしょうか。あるいはそうなのかも知れませんが、おそらくその従妹に無頓着であったのが、おもな源因になっているのでしょう。