Japanische Klassiker mit Furigana
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こころ
こころ
Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme
私は小供のうちから市にいる叔父の家へ始終遊びに行きました。ただ行くばかりでなく、よくそこに泊りました。そうしてこの従妹とはその時分から親しかったのです。あなたもご承知でしょう、兄妹の間に恋の成立した例のないのを。私はこの公認された事実を勝手に布衍しているかも知れないが、始終接触して親しくなり過ぎた男女の間には、恋に必要な刺戟の起る清新な感じが失われてしまうように考えています。香をかぎ得るのは、香を焚き出した瞬間に限るごとく、酒を味わうのは、酒を飲み始めた刹那にあるごとく、恋の衝動にもこういう際どい一点が、時間の上に存在しているとしか思われないのです。一度平気でそこを通り抜けたら、馴れれば馴れるほど、親しみが増すだけで、恋の神経はだんだん麻痺して来るだけです。私はどう考え直しても、この従妹を妻にする気にはなれませんでした。
叔父はもし私が主張するなら、私の卒業まで結婚を延ばしてもいいといいました。けれども善は急げという諺もあるから、できるなら今のうちに祝言の盃だけは済ませておきたいともいいました。当人に望みのない私にはどっちにしたって同じ事です。私はまた断りました。