Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
「その話は、おすえちゃんから聞いてもらうほうがいいんだ、おれは口べただから」
「おめえはじれってえ男だな」
「そうじゃねえんだよ」さぶはまだ嗚咽で喉を鳴らしながら、眼を拭いて云った、「――ほんとはなんでもねえんだ、ただうっかり饒舌って、栄ちゃんの気を悪くさせるといけねえと思ったからなんだ」
栄二は黙ってあとの言葉を待った。
「葛西は九月いっぱいでひきあげた」とさぶは額を撫でながら云った、「なにしろ兄嫁がまた赤んぼを産んだもんだから」
「それは手紙で読んだよ」
「そうだっけか」さぶは済まなそうに肩をちぢめた、「それで、――小舟町へは帰れねえし、おら、とにかくおすえちゃんと相談してみた、そうして、なにしろ栄ちゃんが出て来たときのことがあるから、いろいろ話したうえ、うちを借りようってことになったんだ」
栄二の顔をうかがったが、なにも云いそうもないので、さぶは吃りながら続けた。
「そうすると、おすえちゃんのうちの近くに、裏長屋だけれど空いているうちがあって、店賃も安いもんだからそれを借りてね」
「じゃあ下谷金杉だな」
さぶは頷いた、「ひとまずそこへおちついたんだが、栄ちゃんが出て来たときに困るからってね、横丁でもいいから、せめて裏長屋でねえところをって」