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Japanische Klassiker mit Furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme

Aozora Bunko

「あたしは酒はだめなんだよ」

「まあいい、お別れだから受けてくれ」

ではまねだけ、と云って与平は盃を持った。膳の上にはなにかの酢味噌と、菜の胡麻あえと、雑魚の佃煮などが並んでいた。

「与平さんに会えただけでもよかった」と栄二は云った、「みんなにもずいぶん厄介をかけたが、与平さんには一生かかっても返せないような恩になったからな」

与平は手を振った、「わたしがなにをしたもんか、そんなことより栄さんのこんどしてくれたことのほうが、よっぽどみんなのために有難かったよ」

与平は酒を啜り終って、盃を置き、栄二に酌をした。栄二はちょっと口をつけただけで、その盃を持ったまま与平を見た。

「口で云ってもはじまらねえが、おれがここを無事に出るときがきたら、与平さんにもいっしょに出てもらい、いっしょにくらすつもりでいたんだ」

与平は徳利を持ったまま、おどかされでもしたような眼で栄二を見返した。

「こんなことになってはそれもお流れだが、もしも仮に、おれが牢から早く出られ、与平さんがまだここにいてくれたら、おれはきっと迎えに来るよ」

「有難うよ、有難う」与平は頭をさげた、「そう云ってくれるだけでたくさんだよ」