Japanische Klassiker mit Furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme
おのぶは急に坐り直して、温和しく盃を取った。そして、栄二に酌をされた盃を両手で大事そうに支え、眼をつむって、口の中でなにか呟いてから、静かに飲んだ。呟いた言葉は誰にも聞えなかったけれども、三人はそれぞれその意味がわかったのか、ほんの短い時間ながら、三人とも、しんと息をひそめたようであった。
おすえはまだ奉公先から暇を取っていないそうで、すみよしを出ると、駿河台下にあるというお屋敷へ帰り、栄二とさぶの二人だけ下谷へ向った。
「おら心配だが」あるきだすとすぐにさぶが云った、「のぶちゃん、あれで大丈夫だろうか」
「大丈夫でなくったって、どうしようもないさ」
「おら思うんだが、その徳っていう男を、なんとかできねえもんかな」
「おれのことが片ついたら、こんどはのぶ公の心配か」栄二はそう云ってから、励ますような眼でさぶを見た、「ひとのことで苦労するのはもうたくさんだ、のぶ公はのぶ公でやってゆくさ、これからはもっと自分のことを考えろよ」
そうだな、とさぶは頷いたが、そうだと同意したような顔つきではなかった。ついでだからというので、御徒町の経師屋へまわり、主人の茂三郎に会った。