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Japanische Klassiker mit Furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Lesen Sie さぶ von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 210.521 Zeichen · 415 Bildschirme

Aozora Bunko

おすえもさぶの名は決して口にせず、栄二の苛だっているのがわかるのだろう、茨の棘の先にでも触れるように、いつもぴりぴりと神経を尖らせていた。

さぶが出ていってから八日めの夜、晩めしのあと酒を飲んでいた栄二は、急に音高く盃を置いた。

「おすえ」と彼は云った、「おまえの支度はできているのか」

おすえは不安そうに頷いて「ええ、できてます」と答えた。

「よし、そんならあした立つことにしよう」と云って栄二は立ちあがった、「糊を見るからあかりを持って来てくれ」

辛抱を切らした、というようすがあからさまにうかがわれ、おすえは口がきけなくなった。

仕事場へいった栄二は、板の間の冷たさも感じないように、片隅の揚げ蓋をあけ、おすえが行燈を持って来ると、「糊桶を呉れ」と云った。仕事場の一方に作りつけてある棚から、蓋付きの平桶を取りおろすと、おすえは乾いた布切で中をよくぬぐった。――栄二は第一の瓶の目貼りを剥がし、きっちり嵌めてある木の蓋を取った。床下から冷たい土の香と、熟れた糊の匂いが栄二の顔を包んだ。取った瓶の蓋を、裏返しにして板の間へ置いたとき、その蓋の裏に、なにか書いてあるのが眼についた。