Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

飲むと赤くなる側なのだが)いろいろな行きたい処が話題に上って来た。

「君、箱根へ行こう、蘆の湖だよ、屹度いま杜鵑が啼いているに相違ない」

かなり更けたが、まだ其処だけあけ放ってある雨戸の間から灯かげの流れた庭さきの闇の色をうっとりと眺めながら、私は或る感覚を覚えて斯う云い出した。湿りを含んだ夜風が、庭木の柔かな葉むらを動かしているのを見ていると、不意にこの鳥の鋭い声が身に感ぜられたのだ。

「そうだ、彼処に限る、もう屹度啼いているよ、……」

私の追っかけて云う言葉と共に、話はすぐきまった。小田原へ廻らずに、三島から旧道を登って蘆の湖へ出る。そして其処へ一泊して、翌日は蘆の湖から強羅へ廻って小田原へ降りる、という風に。そうきまると、ちびちび飲んでいるのが面倒になって、直ぐ二人とも床に入ってしまった。床に入りながらも、私には湖水の縁で啼いている鳥の声があれこれと想像せられた。ことに、一夜眠った明方の湖水の静けさ、恐らく深々とあたりの山腹に動いているであろう朝靄の真白さ、その中を啼いて渡る杜鵑の声、若葉の輝き、すべて身近にまじまじと見る様な気がして、なかなかに寝附かれないほどであった。