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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなかみきこう

みなかみ紀行

若山 牧水

Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、玻璃戸から覗くと、何という明るい静かな景色であろう、湖も、山も、しっとりと月の光を吸い込んでいるのである。

友人はよく眠っていた。私はひそかに手拭を取って、戸をあけて、庭へ出た。湿った水際の土に自分の影が墨の様に映った。月は丁度湖水の真中の空に在った。岸に並ぶもろもろの山も森もすべて一抹の影を帯ぶる事なく、あらわにその光を浴びているのであった。この明るい世界の中に、何処にひそんで啼くのか、実に自由自在に、ほしいままにこの鳥は啼き入っているのである。

私は岸にしゃがんで手拭を水に浸した。そして冷い音を立てながら丁寧に髪を洗い顔を洗った。水の揺らぎが遠く丸く、月のもとに影を起してひろがった。それを見ている間も、澄み張った鳥の声は、声から声を追うものの様に、明るい中へ落ちて来るのであった。

次ぎの間の電気をつけて、私は机に向った。昨日の残りの為事を続けるためである。四辺の気配と、自分の頭の澄んでいるために、昨日より遥かに心地よくペンを動かす事が出来た。時々労れて、頭を挙ぐると、玻璃戸越しの月明とそれをうつした水の輝きとが、この静かな部屋を包んでいるのである。