Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
昨今はよほど熊も少くなったが、まだまだ向うの、と我等の歩いている渓向うに大らかに峰を張って朝日を浴びた木深い山を指さしながら、霞沢岳などにはかなりの数が棲んでいるだろう。現にもう今年もあの山で一頭打った者がいたが、まだ鑑札日の前だったので値段はずっと安かったそうだ、と語りながら、ふと気づいた様に、
「今日からが丁度鑑札日だが、宿の総領も、あとから若い衆打ちに来る筈だ」
という。成程その日は十月十五日、銃猟の解禁日であった。若い衆とは何だと訊くと、猿の事だそうだ。そして、俺も旦那のお供をしねエと総領と一緒に来るのであったと如何にも残念そうに云った。お前もそんな歳をしていてまだそんな荒猟をやるのかと笑いながら振向いて老爺の顔を仰ぐと、熊打にはもうよう出かけねエが若い衆位なら何でもねエ、去年は七尺からある大鷲を打ったが、斯んな山でもあれ程の鷲をば皆珍らしがったとややてれ気味に自慢する。そして話は鷲に移って、折々田畑に出ているとこの大きな鳥が飛んで来て被っている手拭を浚ってゆく、それも若い者と老人とをよく見分けて老人のばかりを狙って来る、然し俺はまだこの歳になるが一度も浚われた事がない、老人でも少し違うのが鷲にも解るらしいとまた自慢である。