Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
其処へ不意にその珍らしい音が鳴り響いたのでひどく不思議に聞えたのであった。それを聞きながら私は不図或る事を思い浮べた。そして急いで女中に電話帳を持って来させた。
幸いにその中に福田という姓を見出したので、この福田という家に斯ういう人がいはせぬかと女中に訊くと、おいでになります若旦那様ですという。それを聞くと私は躍り上って喜んだ。そして大急ぎで女中に電話口までその福田夕咲君を呼び出して貰った。
「君は福田夕咲君か、僕だ僕だ、解るかね僕の声が!」
解りようはなかった。私が高山町に来て福田君の事を思い出すのはそう不自然でなかったが、斯うして電話口で私の声を聞こうとは彼にとっては全く思いもかけぬ事であったのだ。
彼と私とは早稲田の学校で同級であった。そして同じ詩歌友達で、飲仲間であったのだ。そして聞くともなく彼の郷里が飛騨の高山で、その父か兄かが其所の町長をしていると云う様な事をも耳にしていた。それを偶然その高山町に来て思い出したのであった。
彼も丁度夕飯を喰いかけていたのだそうだが箸を捨てて飛んで来た。話し合って見ると八年振の邂逅であった。その間彼はずっとこの郷里に引込んで居り、筆無精のお互いの間には手紙のやりとりも断えていたのであった。