Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
髪にも髭にも白いのがかなり混った割には極めて元気な矮躯赭顔の翁は折柄処用で外出しかけて居たにも係らず、懇ろに我等がために古文書を展き、絵図を示し、流されてこの島に三年の月日を送られた上皇の故跡をいろいろと説明せられた。そして当時上皇の詠まれた
松山や松のうら風吹きこして忍びて拾ふ恋忘貝
という歌によって忘れ貝と呼ばれて居るこの島特有の貝殻の拾い取ってあったのを特に私のために分けられたりした。中に美しい純白なものがあったが、これなどは今極めて稀にしか拾えない種類なのだそうだ。
併し、惜しい事に歴史上の年代や考証がかった話を聴くべく余りに私は旅に疲れていた。今度の旅に出てまだ幾日もたってはいないが、その出立前からかけての烈しい不摂生、不健康、ことに岡山に来てからの四五日が間、夜昼なしに飲み続けていた暴酒や不眠のために殆ど全くの病人となっていた私にとってはそれらの入り込んだ話はともすると頭の中で纏らぬがちであった。幸いに翁は説明を中途でやめ、これから順々と重もな故跡を案内しましょうと自分から立ち上った。そしてそのあとを兼ねて鯛網見物の場所ときめてあった琴弾の浜へ出ようというのである。