Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
ひたひたと瀬につきそうな危い板橋を渡ってみると、なるほど其処の切りそいだ様な崖の根に湯が湛えていた。相並んで二個所に湧いている。一つには茅葺の屋根があり、一方には何も無い。
相顧みて苦笑しながら二人は屋根のない方へ寄って手を浸してみると恰好な温度である。もう日もった山蔭の渓ばたの風を恐れながらも着物を脱いで石の上に置き、ひっそりと清らかなその湯の中へうち浸った。一寸立って手を延ばせば渓の瀬に指が届くのである。
「何だか渓まで温かそうに見えますね」と年若い友は云いながら手をさし延ばしたが、惶てて引っ込めて「氷の様だ」と云って笑った。
渓向うもそそり立った岩の崖、うしろを仰げば更に胆も冷ゆべき断崖がのしかかっている。崖から真横にいろいろな灌木が枝を張って生い出で、大方散りつくした紅葉がなお僅かにその小枝に名残をとどめている。それが一ひら二ひらと断間なく我等の上に散って来る。見れば其処に一二羽の樫鳥が遊んでいるのであった。
真裸体になるとはしつゝ覚束な此処の温泉に屋根の無ければ
折からや風吹きたちてはらはらと紅葉は散り来いで湯のなかに
樫烏が踏みこぼす紅葉くれなゐに透きてぞ散り来わが見てあれば