Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
撫でつ叩きつして暫く彼は其処に立っていた。
「山が深いから珍しい木も沢山あるだろうネ」
私もこれが楓の木だと聞いて驚いた。
「もう一つ何処とかから途方もねえ黒檜が出たって云いますがネ、みんな人夫頭の飲代になるんですよ、会社の人たちゃア知りやしませんや」
と嘲笑う様に云い捨てた。
坂を登り切ると、聳えた峰と峰との間の広やかな沢に入った。沢の平地には見る限り落葉樹が立っていた。これは楢でこれが山毛欅だと平常から見知っている筈の樹木を指されても到底信ずる事の出来ぬほど、形の変った巨大な老木ばかりであった。そしてそれらの根がたに堆く積って居る落葉を見れば、なるほど見馴れた楢の葉であり山毛欅の葉であるのであった。
「これが橡、あれが桂、悪ダラ、沢胡桃、アサヒ、ハナ、ウリノ木、……」
事ごとに眼を見張る私を笑いながら、初め無気味な男だと思った案内人は行く行く種々の樹木名を倦みもせずに教えて呉れた。それから不思議な樹木の悉くが落葉しはてた中に、おりおり輝くばかり楓の老木の紅葉しているのを見た。おおかたはもう散り果てているのであるが、極めて稀にそうした楓が、白茶けた他の枯木立の中に立混っているのであった。