Japanische Klassiker mit Furigana
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みなかみきこう
みなかみ紀行
若山 牧水
Lesen Sie みなかみ紀行 (みなかみきこう) von 若山 牧水 (わかやまぼくすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.087 Zeichen · 203 Bildschirme
私がこちらに来る四五日前、一晩東海道国府津の駅前の宿屋に泊った。宿屋の名は蔦屋と云った。聞いた様な名だと、幾度か考えて考え出したのは、数年前その蔦屋に来ていて井部君は死んだのであったのだ。それこれの話の末、我等はその故人の生家が土地の料理屋であるのを幸い、其処に行って昼飯を喰べようということになった。
思い出深いその家を出たのはもう夕方であった。駅で土地のM―君と松本市から来ていたT―君とに別れ、あとの五人は更らに私の汽車に乗ってしまった。そして沓掛駅下車、二十町ほど歩いて星野温泉へ行って泊ることになった。
この六人になるとみな旧知の仲なので、その夜の酒は非常に賑やかな、而かもしみじみしたものであった。鯉の塩焼だの、しめじの汁だの、とろろ汁だの、何の缶詰だのと、勝手なことを云いながら夜遅くまで飲み更かした。丁度部屋も離れの一室になっていた。折々水を飲むために眼をさまして見ると、頭をつき合わす様にして寝ているめいめいの姿が、酔った心に涙の滲むほど親しいものに眺められた。
それでも朝はみな早かった。一浴後、飯の出る迄とて庭さきから続いた岡へ登って行った。