Japanische Klassiker mit Furigana
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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
Lesen Sie 不連続殺人事件 (ふれんぞくさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.047 Zeichen · 322 Bildschirme
「珍らしいね。奥さん、御湯治とは」
「あなたも鉱泉? 一しょに行きましょうよ」
「僕は今日は郵便局長のところで碁会があるんだけどね」
「あら、局長さんのお宅はこっちの方じゃないでしょう」
「ええ、だから、つまり、僕は碁は好きではあるが、会となると、嫌いのタチでね。会は常に何の会であっても、雑然たるものだからさ。それで、会場へ向って歩こうとすると、自然に足が反対の方角へ向って歩いてしまうんですよ」
「生れつきのヒネクレ屋なのね。足の向いたついでに、鉱泉宿へ行きましょうよ」
「そう言われると、自然に又、足の方角が」
そう言いながら、ブナの森のマン中へんから、道のない森の奥へ曲りこんでしまった。
「ずいぶんヘンジンね」
「ああいうアマノジャクとはマジメにつきあわぬ方がよろしいです。白いといえば、黒いと言うにきまった奴ですよ」
この日の温泉は全くカンサンそのものであった。だいたい田舎の湯治客は二人づれ三人づれなどというのは殆どなく、一家ケンゾク引越し遊山という奴だ。だから幾組の客もなくとも、一組で忽ち賑いを呈するという特殊性があるのである。
我々のほかに客が全くないのだから、あやかさんは張番をたのむ必要もなく、のんびり三十分以上も湯ブネで遊んでいる。