Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

Lesen Sie 不連続殺人事件 (ふれんぞくさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.047 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

絵の方じゃ、そんなエゲツないことは題材にならないから、絵はノーブルなもんだ。文学は汚らしいな」

「起してこよう」

珠緒さんは平然と言いすてて、シャンソンを唄いながら階段を駈け登って去ったが、まもなく、音もなく、戻ってきた。真ッ蒼だった。目が焦点を失っている。ちょッと、喋ることができない様子であった。

「王仁さんが、死んでる」一馬がビックと顔をあげて、

「なに?」

「王仁さん、殺されている」

あいている椅子のひとつへフラフラ腰を下して、化石のように放心した。一馬がのろのろ立上って、頻りに人々を見廻しながら、

「寸兵。君だけ」と、私によびかけて、

「皆さん、待ってて下さい。私が見てきます。寸兵だけ、一しょに。それから、海老塚さん」

一座はまったく無言であった。私と、海老塚医師が立ち上った。そして私たち三人だけが、シワブキもない沈黙の室から歩き出たのである。

まさしく王仁は殺されていた。一糸もまとわぬ裸体であった。心臓を一突きにやられている。その短刀が彼のカラダをピンでとめているように、突きさしたままだ。不思議に、血が殆ど見られない。コイツ奴が人を殺さずに、人に殺されるなどとは嘘のような話で、まるで、現実の事件の中にいるような気がしなかった。