Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたおもてくらべぼたん
両面競牡丹
酒井 嘉七
Lesen Sie 両面競牡丹 (ふたおもてくらべぼたん) von 酒井 嘉七 (さかいかしち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.317 Zeichen · 25 Bildschirme
もでき、せめてもの楽しみに、と、お買物の風を装われては、街までお出ましになり、それも、名のある師匠ではお知合いのお方にお会いになるけねんもございますこととて、わざと、ああした旧家町。私たちの様な、お稽古所へ尋ねて来られたのでございました。ところが、
「では、そちらさまのご都合が、およろしいようでもございましたら、お稽古は今日からでもいたしましょう」
と、申しまして、
「唄をなさいますか、それとも、踊りのお稽古でございましょうか」
と、お伺いいたしますと、
「唄を、どうぞ」
と申されたのでございます。お年寄り衆でございますれば、大抵は踊りか、さもなくば、三味線のお稽古をなさるものでございますので、こうしたお言葉に、私は、少し意外に感じたのでございました。それで、
「唄でございますね」
と、念を押し、
「何か、ご注文でも……」
と、重ねて、おたずねしたのでございました。すると、
「それでは、春雨と、梅にも春を、お歌いいたしたいと存じますが最初は春雨を、お稽古して頂きます様に……」
と申されました。私は、糸の調子を下げまして、
「では、お稽古いたしましょう」
と、三味線を取り上げ、