Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたおもてくらべぼたん

両面競牡丹

酒井 嘉七

Lesen Sie 両面競牡丹 (ふたおもてくらべぼたん) von 酒井 嘉七 (さかいかしち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.317 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「なる程、お子供衆でございましたら、ご酒を上がって頂く訳にも参りますまい。では、何か、お菓子でも買って、おあげ下さいませ」

と、仰有ったのでございました。

三

この方が、お稽古に来られる様になりましてから、二週間目のことでございました。もう、その頃は、春雨と、御所車を上がっていられたのでございますが、

「実は、近い内に、どこかの温泉へ、保養がてら、一、二週間ほど行きたいと思っているのでございますが、どうも、一人で行くのは話し相手がなく、淋しいもので……」

と、こう、仰有るのでございます。そして、

「……若し、お師匠さまのご都合がおよろしい様でございましたらお供をさせて頂きたいと存じます」

と、こんなに、申されたのでございました。――師匠をいたしておりますと、こうしたお誘いをよく受けるのでございます。どなた様も、きまった様に、

(師匠のお供……)

とは申されますものの、当然、こちらの方が、おともでございまして、お風呂からお上りになりますと、紺の香も新しい、仕立おろしの宿の浴衣に着かえまして、さて、

「お師匠さま、こうしていましてもご退屈でございますから、時間つぶしに、何か一つおさらいして頂きましょうかしら」