Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたおもてくらべぼたん
両面競牡丹
酒井 嘉七
Lesen Sie 両面競牡丹 (ふたおもてくらべぼたん) von 酒井 嘉七 (さかいかしち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.317 Zeichen · 25 Bildschirme
二
そうした神秘的な、不気味な霧が、私の頭をかき乱していたのでもございましょうか。漠とした、しかし、たえ難いまでの恐怖におののき、烈しく鼓動する胸を抱きながら、大きく目を見張っている私を振りむきもせず、その第二の私は、階段を音もなく昇り、かき消すように、姿を消してしまったのでございます。
二
恐怖にうちのめされ、慄然たる悪寒に身体を震わせながら、それからの四、五日間を、私は、自分の前に現われた自分の姿のことばかし考え乍ら、過ごしたのでございました。ご存じでもございましょう、常磐津の浄瑠璃に、両面月姿絵、俗に葱売という、名高い曲でごさいまして、その中に、おくみという女が二人現れ、
常※(歌記号、1-3-28)もし、お前の名は何と申しますえ
※(歌記号、1-3-28)あい、私ゃ、くみというわいな
常※(歌記号、1-3-28)して、お前の名は
※(歌記号、1-3-28)あい、わたしゃくみと言うわいな
常※(歌記号、1-3-28)ほんにまあ、こちらにもおくみさん。こちらにもおくみさん。こりゃまあ、どうじゃ。
と、驚くところがございます。この一人は、実在の人物、そしていま一人の方は、悪霊なのでございます。