Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうひんよっつ
中勘助随筆集
中 勘助
Lesen Sie 中勘助随筆集 (しょうひんよっつ) von 中 勘助 (なかかんすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.694 Zeichen · 32 Bildschirme
断片。昨夜は重態のままどうにか越した。朝、私が茶の間から行って病室の障子をあけたら□□さんが坐っていた。おお 私はそんなことをいってなにか挨拶をしたらしい。姉が知らせたので長野から夜行で今著いたところだった。
「折角いいものを送って下すったのに……」
そういいかけたらいちどきに涙がこぼれそうになったのをそのままさりげなく茶の間のほうへきてしまった、先頃母へ自分で編んだ温かそうなちゃんちゃんこを送ってくれたそのお礼もいおうと思ったのだが。
断片。ただ末期をらくにするために思いきり注射した麻酔剤がきいてるあいだの昏昏とした眠りから醒めたときに母は奇蹟的に元気を恢復した、病苦もなく、浮腫もへり、脈も呼吸もよくなり……蘇ったように、しかし結局は寿命はないのだけれど。たぶん時の問題が日数の問題になったのであろう。病苦と共に心の煩いも忘れて静に横わっている。
「みんなきとくれたわねえ」
母はもう一遍あいた目で枕べによる児孫たちの顔を見まわしながらそんなことをひと言いう。凡てが自然と天命である。逝く者もとどまる者も落ちついている。
断片。母は今度病気が重くなってから 末さ 末さ と姉を呼んでばかりいる。