Japanische Klassiker mit Furigana
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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme
ここだ! ここへ這入ろう! と私は考えた。だが、客はまだ残っていた。早く帰ってくれればいい。後の客が来なければいい。そう心の中で願いながら、私はその辺を二、三度も往来した。そして、やっと客の途絶えた隙を見出した時、そっと私はその飲食店の中に這入って、耳まで熱くほてった極まりわるさと自責とを無理強いに圧しつけて、おずおずと私は小声で頼んでみた。
「あの……おかみさん、米を買ってくれませんか。好い米です……いくらにでもいいんです……」
おかみさんは驚いたような顔をして私を見た。その顔を見ると私はまた一層おびえた。断られたらどうしよう、祖母に言いつけられたらどうしよう、私はもう穴があったら這入り込みたいような気がした。
が、何という救いであったろう。おかみさんは答えた。
「どんな米だか、見せて下さい」
ああ、たすかったと、私はほっとして胸を撫でおろした。そして散々もて余した揚句、近くの肉屋の小屋の影に匿しておいた米の袋を持って来ておかみさんに見せた。
おかみさんは袋の口をあけて、一握みの米を握み出した。
「なるほど良い米ですねえ、どれだけあるのですか」
「五升あります」