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Japanische Klassiker mit Furigana

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なにがわたしをこうさせたか

何が私をこうさせたか

金子 ふみ子

Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme

Aozora Bunko

平田さんというのがその人で、まあいわば、みんなの取締りのような格だった。紙取りが帰って来ると、紙面にざっと眼をとおして、人の注意をひきそうな事件を見つけては、売子たちの籠の前にぶらさげるビラに、「浅草の七人斬り」とか「深川の大火」とか筆太に書きなぐって、赤インキでベタベタと二重丸を附けるのもこの平田さんの仕事の一つであった。しかもそれが済むと、自分も、絆纏に後ろ鉢捲きをして、池の端から湯島辺にかけて配達して廻るのだった。何だかえたいの知れない男だと私は思った。

上野の三橋では鈴を振ることが禁じられていた。で私は、夕刊、夕刊、と大きな声で叫んで、客の注意をひかなければならなかった。初めの間は、それがなかなか出来なかった。声が喉に引っかかってどうしても出て来なかった。それが大して苦痛でなしに叫び得るようになるまでには十日はたっぷりとかかった。

私は、朝、正則に行って、正午までそこで学び、それからまた三時までは研数学館にいて、帰って来るとすぐ冷飯をかき込んでは、四時にはもう籠をぶらさげて三橋附近の路傍に立つのだった。

その頃はもう夏だったので、夕日がかんかんと頭から照りつけるので、体じゅう汗と埃とに汚れるし、その上ひっきりなしにどならなければならないので、咽が渇いてたまらなかった。