Japanische Klassiker mit Furigana
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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme
と呼び起すのだった。だが、それがあまり幾度も重なると気の毒になって、つい起す勇気もなく、そのまま神田明神の境内にある藤棚の下の、昼間はサイダアや氷を売っているが夜は店をたたんで帰る見晴らし台の上に、ごろりと横たわって寝るのであった。
そうした時、夏でも夜は涼しかったが、その代り、蚊が猛烈に襲撃して来るので、なかなか容易に眠りつけなかった。やっと見出した工夫は、商品を包んだ風呂敷で頭を蔽い、着物のたくし揚げをおろして、ちぢこまって、足をくるんで寝ることであった。
疲れているので、多くの場合はぐっすりと眠りついたが、時々は夜中に急に降りだした雨にたたかれて起されたり、おまわりに見つけられて交番につれて行かれたりなんかもした。
こうした生活はしかしいつまでも続き得るものではなかった。ことに四、五日も続けて雨に降られた時には、一文の儲けもなくて、三度三度の食事はおろか一日一度の食をさえ取り得ないといった状態になった。そこで今度は少しばかり残った商品をもとでに行商を始めてみた。
だが、これはまた新米の私にはこの上もなく困難な仕事であった。毎日、学校から帰って来るとはすぐ、袴を脱いで帯に締め更え、商品を抱えて出かけるのではあるが、さていよいよとなるとどうしても人の家に這入ることができなかった。