Japanische Klassiker mit Furigana
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なにがわたしをこうさせたか
何が私をこうさせたか
金子 ふみ子
Lesen Sie 何が私をこうさせたか (なにがわたしをこうさせたか) von 金子 ふみ子 (かねこふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.571 Zeichen · 383 Bildschirme
が、ここもやっぱり同じであった。母はまたしても田原家を出て独りで製糸場に通っており、祖母や叔母たちは私が苦学しているのを幸いに、学校を出て小学校の先生にでもなったら母を見てやれなどと私を説くのであった。自分の子を見捨てて自分の生活の安全をのみ求めた母に対して、死ぬほどの苦労をして勉強している、行く末がどうなるかの見透しさえつかぬこの私に義務を負えとせまるのである。
私はもうここにもいたたまらない。私はまた東京へ帰らねばならぬ。
東京に戻って来たのは八月の末であった。それから四、五日経ったある日の夕方、私は、市内に用たしに出かけたが帰りがけ、春日町の電車乗換場で雨に降られた。そこで私は、その近所に下宿していた瀬川の宿へと久し振りに飛び込んだ。
私はいつものように案内も乞わず、ずかずかと梯子段を上って、瀬川の部屋の障子をあけた。瀬川は机に向って何か手紙でも書いているようだったが、振り向いて私の姿を見るとちょっと笑顔を見せて「なあんだ、ふみちゃんか、びっくりさせるじゃないか」と私を迎えた。
「雨にふられてひどい目に逢ったの。そらご覧! 頭から着物からずぶ濡れだから……」