Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
Lesen Sie 光り合ういのち (ひかりあういのち) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.439 Zeichen · 263 Bildschirme
しかしとうとう不安で得行かなかったと。私は又私で君のお姉さんが好きだった。だが君の姉さんは三次へ嫁に行かれた。私は見るのが苦しいので、その家の前をまわり道していた。しかし思えば、淡い絵本の話だ。
私が一高にいたころ。その妹が女子大学の試験を受けに来た。その時藤久君はとうとう救世軍に入っていた。君の気性は街頭に立って太鼓をたたき、貧民窟を訪うて苦しみを救いつつ、主の教えを説くところまで行かねばおさまらなかったのだ。春の上野公園は桜が盛りだった。私たちは三人並んで歩いた。君は救世軍の制服を着ていた。当時私は冷静な哲学の学徒として行こうとしていた。
「どこどこへでも僕は行くんだ。主の命のままに」
と君は言った。私は君でなかったら胸が悪くなったかも知れない。だが君にはそれが似あった。
私はあのツルゲネフのゼントル・フォークの中に出て来る、自分を野の百合に比べ、雲井のひばりにたとえる弊衣の詩人青年のことを君について、思ったのであった。
「君たちは君たちだけの事を思うんだね」
と藤久君がその時言った。私はもとよりそれは不服であった。だが君の気もちは解った。
君にはもう青雲の志に燃えてる私達を羨むような気はなかった。