Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

Lesen Sie 光り合ういのち (ひかりあういのち) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.439 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

3

と彼女は言った。そして私に身をすりつけると、

「うち、好きじゃけ」ときつく私の手を握って、そして身もだえするような恰好をした。

何か異常な、激しい感覚が彼女の中に動いてるのが感じられた。

彼女は私に身をもたせて、うなじを垂れた。私は反射的に彼女の肩に手をかけたが、しかし私の内には彼女のに応じる程の肉体的なものがまだ目ざめていなかった。感情がませてるほど、肉体は発育していなかった。同じ年でも身体の人なみすぐれて丈夫な彼女には、どうも大人に近いものが目ざめていて、それが彼女の物足りなさをつくったのではないかと思うのだ。

3

尾道での年少の私の憧憬はもとより思春のものだけではなく、文化と学芸と――いのち一般の美しいもの、価あるものへの思慕であった。もし尾道という土地にそうした、施設と雰囲気とがありさえしたら、私は勿論燃えるような熱情をもってそれに向かって行ったであろう。しかし不幸にして尾道には商業学校以上の学校もなく、芸術的なサークルもなかった。私のいのちの中の一番のエレメントを引き出す空気が欠けていたことは惜しむべきことであった。実際私はどんな高い文化と教養との素地的な訓練にも応え得る玉のようなナイーブさと、鋭い感受性とを持った少年だったのだ。