Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
Lesen Sie 光り合ういのち (ひかりあういのち) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.439 Zeichen · 263 Bildschirme
幼きころ
1
幼きころ
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幼きいのちは他者の手にある。もし愛する者が用意されてなかったら、自分のいのちの記憶もなく、死んでしまうよりない。今日生きながらえている者は必ず愛されて育てられて来たのである。
我々は生れた時のことを記憶していない。愛の手は、そして乳房は自分が知らぬのに待ち設けられてあった。
人間のいのちの受け身の考え方の優先権、自主的生活の不徹底性がここに根ざしている。
私の記憶はおぼろでそしてちぎれちぎれだ。そのフラッシュド・バック――。
私は、母親の背中で泣いていた。母は私を揺ぶりながら、店先をあちこち歩いていた。私はハシカだったらしい。機嫌が悪く、母の背中に頬を当てて、熱ばんだ体に病覚を感じて泣いていた。あわれな、小さな生きものだ。おんぶしたまま母は後ろを振り向く。顔に涙の条が光っている。
母親は私の尻をやさしくたたきつつ、田舎じみた子守歌をうたった。
そのリフレーンが、へんに耳に残っている。
寝ないのかええ、こんな餓鬼やホイ
私の目に塵が入ると母は私を臥かして、胸をひろげて乳房を出して、乳汁を目の中に二、三滴落した。
やわらかい、暖かい乳汁の目ぶたににじむ感じ。