Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
Lesen Sie 光り合ういのち (ひかりあういのち) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.439 Zeichen · 263 Bildschirme
この子はお守りと、匂い袋を腰につけていた。家の人達は皆お人好しであったが、世智がらく、運拙なく、いつしか家が傾いて、家財を売り払って負債を整理して、町を立ち退かねばならなくなった。
「今日は百木の司法だ。何の落度もないのに気の毒なことだ」
世話人の一人である父は家を出がけに言った。
百木の門口には町の人々がたかって、競売が初まった。家具はひとつひとつせり落とされて行った。
父は屏風の前の火鉢の前に黙然と坐っていた。人々の後からのぞき見した私はものの滅びて行く淋しさを感じた。
「お仲さんはどうなるのだろう?」
子供心に私はそれが不安だった。が百木の一家はやがて町並みから消え、私もいつしか忘れてしまっていた。
がずっと後になって、そのお仲さんが遊女になってるのに逢ったという人が、武村の叔母と話しているのを聞いた。
「初めは恥ずかしがって対手がつとまりませんでしたよ」
「それはそうでしょうともね」
「でもその次ぎに行った時には、チャンとただの客なみに勤めましたよ」
「ふうーん」
と叔母は感じたように言って沈黙した。私は中学時代だったが、傍で聞いていて、何とも言えない苦悩と、無常と、いきどおりとの混じった気持を感じた。