Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
ガタビシャな戸を明けると、中は鼻をつままれても判らぬ程のくらやみで、キキキと鼠が鳴く。とりあえずルックサックを投げ出した私は、日と雪でピリピリする顔の筋肉を収縮させて、ニヤリとした。私の知人で鼠を非常に嫌う人が二人いる。往来を歩いていて鼠の死骸でも落ちていると、横丁へ曲って了うくらい嫌いなのである。私がニヤリとしたのは、この二人を思い出したからである。「慎太郎さんと俺でなくて、MさんとBちゃんとがここに立ったら、二人はどうするだろう。入らないで、熊笹の上に寝るかしら」と、詰らぬことを考えたからである。
とりあえず蝋燭に火をつけて、まっくらな小舎の内に入ると、中央が土間兼囲炉裏で、左右がアンペラ敷きになっている。その土間に足を置いたまま、アーンとアンペラの上にねころがる。今宵の宿もきまったという安心に、急につかれが出て、靴をぬぐのも億劫になる。
「御免よ!」と北沢が焚木をかかえて入って来た。火をつける、勢よく燃える。「ゆんべとちがって乾いているので、よく燃えるだ」と言ったのは、前晩泊った大沢小屋が雪に埋れていた為にしめっぽく、火を燃しつけるのに三十分ばかりかかったからである。