Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
二、三度岩魚をだましにかかったが、やはり駄目なので、釣は断念し、岩の上に長々と寝そべって煙草を吸った。目の上の唐檜に、恐ろしく長いサルオガセがぶら下っている。ブランブランと風にゆれる。河の音がする。私はねむくなって来た。
突然頭の上で、
「オーイ!」と声がした。ねころがったままで「オーイ」と呶鳴ると「なんだそこにいたんですか」と慎太郎さんが姿を現わす。「どこへ行っちまったのかと思った」という。まったくこの黒部川は断崖絶壁が多いので、ちょっとした岩の鼻の向うにいる人でも見えぬことがよくある。我々は二、三間はなれた所で休んでいたのであるが、お互にどこへ行っちまったのかと思っていた。
流れに添ってすこし下ると、長い吊り橋がある。重吉と北沢とは各々、釣竿を持って、ドンドン橋を渡って行く。向う岸(右岸)の路は、大分高い崖の中腹についている。私どもは写真をうつしたり、話をしたりしながら、あとからついて行った。
丸い石のゴロゴロした河原に坐って、小さな石を河の中にほうり込んでいると、世間を忘れて了う、何が何でもいいような気がする。まことに呑気である。汗水を流して雪渓を登っているより余程いい。