Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
やわらかくて、あまくって、――それに、第一鹿島入りから持って来たというのが気に入って了った。
青々とした木の枝を積んだ馬が山から下りて来る。田に入れて肥料とする青葉である。すれちがうと緑の香が鼻を打つ。むかし、景気のよかった江戸は、いけぞんざいな鰹売りの声に夏を感じた。昔でも今でも、大して景気のよくないらしい大町は、このかるしきがもたらす緑の香に夏を感じ、爺ヶ岳の種蒔き爺さんを見ると、めんくらって、豆を蒔くのである。
山の麓のささやかな平地に、ゴタゴタと家が建っている大町だが、それでも人が住んでいる以上は、いろんなことが起る。釣の好きな小間物屋の主人公は、二月ばかり前に細君を貰った。赤いてがらをかけて、二階を掃除している所をチラリと見た。これはお芽出度い話だが、悲しい話も二つほどある。一つは巡査と芸者の心中で、一つは山の案内人の狂死である。どっちも慎太郎さんに聞いた。
「そこで金につまって、官金消費てな事になったんですか。」
「いや、原因というのが、どこかへ転勤になって、もう逢えないからなんです。若い、元気な巡査でね、青年野球だなんてと、いつでもピッチャをしていましたが……」