Japanische Klassiker mit Furigana
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かわいいやま
可愛い山
石川 欣一
Lesen Sie 可愛い山 (かわいいやま) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.791 Zeichen · 196 Bildschirme
て、じいさま、ばあさまの昔話を聞いた。座敷があるのに通らず、店に坐り込んで只の茶を飲むことを、大阪のお茶屋でも油むしというそうだが、その油むしをやった訳になる。だが、じいさまも――名古屋の生れで大阪にいたり大連にいたりした――ばあさまも一向いやな顔をせず、その中に若い芸者が遊びに来たので、ますます昔話がはずんだ。ところへ隣から薬湯をわかしたからとの招待が来た。ばあさま、我等に向って、
「今日は早くけえって、あすまた遊びにおいで。」
往来に出ると、もう暗い。カサカサになった桑の葉に、冬の風が音を立てる。Sさんと私とは、並んで立小便をした。
旅のつかれに、いささかなる酒の酔が加わって私はグッスリ眠った。そして暁近く、何故ともなく目をさまして、見ると障子のガラスと硝子戸とを通して、黒い空に白い山。白い山と、後で知ったからこそ言うが、その時は只一面に白いものが、北西の方に当って黒い空をさえぎると思った丈であった。
またひとねいり、話声に目をあけると、あたりは明るい。頭をもたげる……ハッとばかりに飛び起きて、床の間に置いた眼鏡をかけた。何という素晴らしい景色だったろう。