Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme
「江戸っ子はもち屋までがいいきっぷをしているから、うれしくなるんですよ。きょう一日分のできたてをみんな買い占めてやったんでね、ないしょに二つまけてくれましたぜ」
「はしたないことをいうな! 早くこっちへ出しなよ」
袋ごと取って差し出すと、やさしくきょうだいにすすめました。
「遠慮はいらぬ。さぞひもじいだろうから、かってにつまんでお上がり」
「…………」
「ほほう、なかなかお行儀がよいのう。だいじない。だいじない。はようお上がり」
いわれて、姉のほうがもじもじしながら一つつまみあげたので、もちろんおのが口へ運ぶだろうと思われたのに、黙ってかたわらを顧みると、弟のほうに差し出しました。しかも、おのれはそれっきり食べようとしないのです。――飢えて飢えて口なづきするくらいにも飢えきっているのに、いただこうともしないのです――見ながめながら名人の目にはふたたびきらきらと露の玉が宿りました。そのいじらしい心にしずくが散りました。いや、散ったばかりではない。慧眼まことにはやぶさのごとし!
「感心なことよのう。こんなにたくさんあるのに、そなたいただきませぬのは、このおもちをうちへ持って帰って、二、三日の間のおまんま代わりにしたいためであろうのう」