Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme
「じゃ、もう聞くことはあるまい。そろそろあごをなでなくちゃならなくなったようだ。あにい、代わってその赤子を抱いてやんな」
「え……?」
「器量よしの若い後家さんが、夜ふけにひとりでどこの板橋へ金策にいったか、その眼をつけに行くんだから、赤子を代わって抱いて、おとなしくついてこいといってるんだよ。――ねえや、このおじさんは行者じゃねえが、千里も万里も先が見える目玉が二つあるからな。きっと母の居どころを見つけてやるぞ。泣かいでもいい、泣かいでもいい。もう泣かいでもいいから、おまえのうちへ連れていきな」
うれし泣きに泣きつづけながら、急に元気づいて、ころころところがるように駆けだしていった小娘を道案内に立たせながら、いかなる秘密もあばかねばおかじといわぬばかりの面持ちで、名人は自信ありげにそのあとを追いました。
5
行くこと四町ばかり。
案内していった向こう横町のその住まいへはいってみると、なるほど家の中は荒廃をきわめて、いかにこれまで小娘一家が貧に苦しんでいたか、目をおおいたいくらいでした。売り食いに売り払って、その日の糧を求めてでもいたものか、家具と名のつくほどの品はなに一つなく、まにあわせのお勝手道具が少々と、売るに売れぬぼろでもはいっているらしい破れつづらがたった一つ、へやのすみにころがっているばかり